市販されている仕事服の素材には、さまざまな加工が施されています。
予め職場で指定された仕事服であれば、用途に合わせた製品が選定されていると思いますが、個人で用意するとなると、適切なものが分かりにくいかもしれません。
そこで、仕事服によく施されている加工と、職場別にお奨めしたい加工をまとめました。
ぜひ仕事服選びの際の参考にしてください!
仕事服の素材に施される主な加工
蓄熱・保温加工
衣服を温かく着用するには、大きくわけて2つの方法があります。
1つは、人の発する熱を衣服の中に留める方法です。一般的に、この方法は保温と呼ばれます。
もう1つは太陽光の赤外線(厳密には近赤外線)を吸収する素材(炭化ジルコニウム等)を仕事服の繊維に混ぜ込み、熱に変換するというもの。これを蓄熱と呼びます。
撥水・撥油加工
雨傘などで水を弾くように加工することを撥水といいますが、それと同じ加工です。
ところで、水をコップに注いで、コップの縁よりちょっと多めについでもこぼれませんよね。あれは「表面張力」が働いているため、水がこぼれないのです。
「水を弾く」という現象は、水と接する面と水の表面張力によって決まります。仕事服でいえば繊維が、水と接する面にあたります。この面の表面張力が、水よりも低い場合に水を弾くのです。
一般的には、表面張力の低いフッ化炭化水素の効果により、撥水・撥油加工は施されています。ちなみに、フッ化炭化水素は油よりも表面張力が低いため、油も弾いてくれますよ。
抗菌防臭加工
イヤなニオイは、基本的に菌の作用で起こります。
イヤな「汗臭さ」を例にとって解説すると、汗は本来無臭の液体なのです。なぜ「汗臭く」なるかといえば、人間の皮膚にいる細菌が、汗を栄養源として増殖するため。
抗菌防臭加工は、このような細菌が繁殖しにくくする役割を持っています。
ただし、菌を減らす効果はないため、「汗臭さ」を防止するために用いられるのが一般的です。
制菌加工
抗菌と間違えやすい機能に制菌加工が挙げられます。抗菌は菌の繁殖を抑えること、制菌は菌の活動を弱くした上で繁殖を抑えることです。
この2つの大きな違いは、抗菌は菌が緩やかに増殖しているのに対し、制菌は活動を弱くするため、菌の数が時間経過によって減っていくことにあります(ただし、0になるわけではありません)。
防汚加工
服を汚れないようにするには、2つの方法があります。
1つは、そもそも服に汚れがつきにくくする方法。 仕事服は平面に見えますが、実は目に見えない凹凸があります。その凹に汚れが入り込むと、シミになって残ってしまうのです。ところが、この凹凸をフッ素樹脂で埋めると汚れが付着しにくくなります。この加工を、ソイルガード加工と呼びます。
もう1つは付着した汚れを落としやすくし、汚れを残さない方法です。こちらはポリマー樹脂で加工し、繊維に洗剤が馴染みやすくなるので、汚れが落ちやすくなるという仕組み。この加工は、ソイルリリース加工と呼びます。
帯電防止加工
電子機器を取り扱ったり、火気厳禁の職場では、静電気が起こると製品が壊れたり、引火する恐れがあります。
このような職場では、帯電防止加工の施された仕事服が役に立ちます。
一般的に、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維が使われている衣服は帯電しやすく、何かと擦れた拍子に静電気が放電する可能性があります。しかし、帯電防止剤を塗布することで、静電気が発生しにくくなるのです。
また、帯電防止機能のある仕事服の素材としてカーボン繊維があげられます。帯電防止加工が無くてお困りの方は、カーボン繊維が使われた仕事服を選んでみるとよいでしょう。
防炎加工
一般的に綿や羊毛、ポリエステルといった素材は引火性が高く、燃えやすい素材です。こうした素材で作られた仕事服を、燃えにくく(耐燃性)するのが防炎加工です。
ただ、防炎加工が施されているからといって、全く燃えないわけではありません。火を取り扱う方は、くれぐれもご用心ください。
職場別役立つ加工
上記の加工を、職場別にまとめたものが下図になります。
いかがでしたか?
仕事服は用途に合わせて選ぶことで、最大の効果を発揮します。適当に選んでしまい、予期せぬ事態を招かないためにも、最適なものを選んでくださいね!